きえん つれびと
奇縁の連人
直江が高耶を当然のように助手席に乗せた為、綾子は後部座席の真ん中に陣取った。
「で、どこに行くんだ?」
「山大よ。山洋大学」
「聞いたことねーな。ほんとにぴっちぴちの女子大生がいんのかよ」
高耶であってもぴっちぴちのおねーさん方には多少興味があるようだ。まあ、そういう年頃だからしょうがないが、ちょっと露骨すぎる気がする。長秀の影響を受けすぎているのかもしれない。あまり長い間、奴と一緒にしておくのもいかんな、と直江は思った。
「そうよ~、私に負けず劣らずのがごろごろいるわよ」
「へぇ……」
綾子に負けず劣らず、というのを想像したのだろうか。
「そりゃあ……すごそうだな……」
高耶は一気に興味をなくしたらしい。
「そうよ~♪すごいわよ~♪」
綾子は気付かず上機嫌で応えている。
「んで、タチの悪い怨霊ってのはどんなやつなんだ?」
高耶は話題を他へ振って、そつなく誤魔化した。
「私もまだ視てないからわかんないんだけどね。今のところ悪さはしてないみたい」
「……タチ悪くねーじゃん」
「……ま、とにかく、行ってみましょ!」
レッツゴー!!と陽気に号令をかける綾子のテンションについていけなくなった高耶は、今度は直江に話を振ってきた。
「お前はなんで東京に出て来てたんだ?」
「家の用事があったんですけどね。もう済みました」
「お姉さんちが近くなのよね」
「へえ、姉貴、いんだ?」
直江がええ、と答える前に何故か綾子が答える。
「東京にお嫁に来て、もうどれくらいだっけ?今度、下のお兄さんもお嫁さんもらうんでしょ?こりゃあ風当たりがますます強くなるわね~~!遊んでばっかいらんなくなるわね~~!!」
嬉しそうにひじでつついてくる綾子に直江はじっとりとした視線を送った。
「お前は何でそこまで詳しいんだ……」
「随分前あんたんちに電話したときに。お母さんったら、こっちから聞かなくても教えてくれるんだもの」
再び頭を抱えそうになった直江を見ながら、何を思ったのか高耶が真顔で言った。
「お前も、結婚する予定とかあんの?」
直江は思わず答えに詰まってしまった。
(こ、このひとは……っ)
思わず高耶を見る目が吊り上がってしまう。
いつまで経っても返事を返せない直江を見て、目をまるくしていた綾子も思わず笑い出した。
「大丈夫!直江は永遠にあんたのものよ、景虎!安心しなさい!」
ばしばしと高耶の肩をたたく。
突拍子もない答えが返ってきて、高耶は焦ったように叫んだ。
「オレそんなことひとことも言ってねーぞ!!」
少し渋滞気味の道を、ピカピカのレンタカーは運転者の心を表すようにヨロヨロと進む。
そんな車を後方からぴったりとマークしている怪しい影がひとつ……。
「で、どこに行くんだ?」
「山大よ。山洋大学」
「聞いたことねーな。ほんとにぴっちぴちの女子大生がいんのかよ」
高耶であってもぴっちぴちのおねーさん方には多少興味があるようだ。まあ、そういう年頃だからしょうがないが、ちょっと露骨すぎる気がする。長秀の影響を受けすぎているのかもしれない。あまり長い間、奴と一緒にしておくのもいかんな、と直江は思った。
「そうよ~、私に負けず劣らずのがごろごろいるわよ」
「へぇ……」
綾子に負けず劣らず、というのを想像したのだろうか。
「そりゃあ……すごそうだな……」
高耶は一気に興味をなくしたらしい。
「そうよ~♪すごいわよ~♪」
綾子は気付かず上機嫌で応えている。
「んで、タチの悪い怨霊ってのはどんなやつなんだ?」
高耶は話題を他へ振って、そつなく誤魔化した。
「私もまだ視てないからわかんないんだけどね。今のところ悪さはしてないみたい」
「……タチ悪くねーじゃん」
「……ま、とにかく、行ってみましょ!」
レッツゴー!!と陽気に号令をかける綾子のテンションについていけなくなった高耶は、今度は直江に話を振ってきた。
「お前はなんで東京に出て来てたんだ?」
「家の用事があったんですけどね。もう済みました」
「お姉さんちが近くなのよね」
「へえ、姉貴、いんだ?」
直江がええ、と答える前に何故か綾子が答える。
「東京にお嫁に来て、もうどれくらいだっけ?今度、下のお兄さんもお嫁さんもらうんでしょ?こりゃあ風当たりがますます強くなるわね~~!遊んでばっかいらんなくなるわね~~!!」
嬉しそうにひじでつついてくる綾子に直江はじっとりとした視線を送った。
「お前は何でそこまで詳しいんだ……」
「随分前あんたんちに電話したときに。お母さんったら、こっちから聞かなくても教えてくれるんだもの」
再び頭を抱えそうになった直江を見ながら、何を思ったのか高耶が真顔で言った。
「お前も、結婚する予定とかあんの?」
直江は思わず答えに詰まってしまった。
(こ、このひとは……っ)
思わず高耶を見る目が吊り上がってしまう。
いつまで経っても返事を返せない直江を見て、目をまるくしていた綾子も思わず笑い出した。
「大丈夫!直江は永遠にあんたのものよ、景虎!安心しなさい!」
ばしばしと高耶の肩をたたく。
突拍子もない答えが返ってきて、高耶は焦ったように叫んだ。
「オレそんなことひとことも言ってねーぞ!!」
少し渋滞気味の道を、ピカピカのレンタカーは運転者の心を表すようにヨロヨロと進む。
そんな車を後方からぴったりとマークしている怪しい影がひとつ……。
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奇縁の連人